2008年9月28日日曜日

文字に導かれて

少し前から「車載動画」にハマっている。
カメラを車に載せて運転時の風景を撮影した映像で、あたかも自分が運転しているような気分になれるもの。
マイカーを持つ時には一度やってみたいところだ。

さておき、動画を眺めていると行き先を示してくれる「案内標識」の文字が気になった。厳密には書体について。
元の書体はPC向けのデジタルフォントではないので、PCで作成は難しい。
しかし調べていくうちに、デジタルフォントでもどうにかなるということで、まとめてみることにする。



左から順に、一般道・都市高速(首都高、阪神高速など)・高速道路や有料道路の案内標識と並べてみた。


一般道案内標識の書体は、写研が出した「ナール」という写植書体。
1973年に発売された歴史ある書体だが、数多くある丸ゴシック体の中でも洗練されたデザイン。
現在でも案内標識の他に、関西の私鉄・阪急電車の駅名表示などにも使われているが、デジタルフォントの使用が一般的になってからは見かける機会も減り、これを意識した劣化版フォントなどが流布してしまった感がある。

この書体の漢字・かな部分がよく似たものとして、今回使ってみたのが「TA風雅丸ゴシック03」なるもの。
特にかな部分が秀逸で、ナール独特の曲線がよく再現されている。
といっても地名には漢字が多いため、かなの出番は少ないかもしれないが。
ただ漢字はJIS第一水準まで対応、かなは拗音("ぁ""ぃ""ゃ"など)や促音("っ")といった小文字のバランスがおかしく、さらには縦書きには文字の並びがガタガタになるためあまり向いていない難点も。

最近になって発見し、「車載動画に使えるんじゃね?」と思ったのが今回のまとめのきっかけ。
しかし権利的な問題はクリアしているのだろうか…。


都市高速のものは、ナールと同じく写研が出所の「ゴナ」というゴシック体。
普通のゴシック体とは違い、文字の幅を広く見せることで重みのある感じに映る書体である。
当然ながらデジタルフォントにはなく、仕方ないので対抗馬の「新ゴ」を使うことにした。
ゴナデザインのコピーと言われ裁判まで起こったほど、確かにそっくりなフォント。
だが、かな文字の違いや漢字の細かい違いも見られるし、分からなくても書体の醸し出す雰囲気が少し違う風に感じられる。


高速道路の書体は、元の書体の名前が分からず。直線的でかなり特徴のある文字である。
高速走行時でもきちんと読めるよう、視認性を重視した結果なのだろう。
名前や製作者などが謎であったが、この書体をデジタルフォントに再現してしまおうというプロジェクトが発足!
その成果物として、今回使用した「GD-高速道路ゴシックJA」がある。
写真などからスキャニングして文字を起こしたのだろうか、よく再現されているなと思う。
現在も開発中で、かな・英数字と実際に標識に使われた地名の漢字のみ収録のようである。


簡単ではあるが、案内標識の書体についてまとめてみた。
何らかの参考になれば幸いであるし、拙い文章故に訂正・追記すべき箇所も出てくるかもしれない。
その際はご指南頂けるとありがたいです。


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車載動画
TA風雅丸ゴシック03
GD-高速道路ゴシックJA

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